チーズプロフェッショナル資格認定一次試験を振り返る① 

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さて宣言通り2019年の呼称資格チーズプロフェッショナルの一次試験を3回に分けて振り返っていきたいと思います。

今年の一次試験の受験者数は 539名、そのうち合格者 268名です。

合格率49.7%、なかなかの難関と言えます。

 

今回(2019年度)の一次試験問題と解答はチーズプロフェッショナル協会のHPからの転用です。

それをズラッと並べても面白みがまったくありませんので、そこに私なりの解説を加えていきたいと思います。

HP内にも記載がある通り、試験が記述式のためあくまで解答例です。(他にも正解があります)

 

 

それでは始めます!

 

2019年度 第20回 チーズプロフェッショナル資格認定 第一次試験 試験問題と解答例
*各問題の点数は非公開。
*記述式の解答例は一例であり、記載以外でも正解があります。

【 問題1 】
次の各文で下線部が正しいものには○を、間違っているものには×を付け、さらに正しい語句を解答欄に記せ。

(1)プロセスチーズはフランス語でフロマージュ・①フルーリー、ドイツ語で②シュメルツ・ケーゼと言い、どちらも③溶かしたチーズという意味である。
答え: ① × フォンデュ  ②   ③ 

解説:国別のチーズの分類と呼称を問われています。フルーリーは〈中身が軟らかく、白カビをまとったチーズ〉ですね。教本p65、p147

(2)スペインの①カスティーリャ・イ・レオン州原産の Queso de Valdeón は、表面が②の葉で覆われている。
答え: ① 〇   × カエデ

解説:覚えるべき葉で覆われているチーズは2種。設問にあるカエデの葉のケソ・デ・バルデオン(IGP)と栗の葉に包まれたフランスのバノン(AOP)です。教本p88、p133

(3)ヨーロッパをはじめ世界の多くの国では「地理的表示保護に関する法律」が制定されているが、日本でも平成27年(2015年)6月に「地理的表示(GI)法」が施行された。
答え: 

解説:GI法については出題が多いです。教本p62

(4)Mont d’Or の製造期間は8月15日から翌年の3月15日までだが、販売期間まで決められていることはあまり知られていない。その期間は9月10日から翌年の5月10日までである。
答え: 

解説:製造期間は6ヶ月、販売期間は8ヶ月ですね。教本p77

(5)ポルトガルの伝統的なチーズであるケイジョ・セーラ・ダ・エストレーラは、イチジクの樹液を凝乳酵素として利用している。
答え: × チョウセンアザミの雄しべ(の抽出物)

解説:ポルトガルと言えば植物レンネット。《チョウセンアザミの雄しべの抽出物》までしっかり答えましょう。教本p134 ◆地域的にポルトガルと隣接するスペインのエストレマドゥーラ州のチーズ(ケソ・デ・ラ・セレナ、トルタ・デル・カサール)も植物レンネットを使用します。

(6)チーズ中に多く含まれるカルシウムやビタミンB2はたんぱく質の代謝をよくする働きがある。
答え: × 脂肪

解説:チーズは脂肪を代謝する成分を多く含んでいます。教本p207

(7) 同じ重量の Mascarpone と Pecorino Toscano を食べた時に、摂取する固形分が多いのは、Pecorino Toscano である。
答え: 

解説:フレッシュタイプ、ソフトタイプ、非加熱圧搾タイプの固形分量比率は把握しましょう。教本p207

(8)ドイツでは古くから発酵乳の食習慣があり、それが現在ドイツでクワルクやサワーミルクの消費が多いことにつながっている。
答え: 

解説:ドイツで押さえておくべきは3点、クワルク、輸出入量世界一、チーズの分類(ヴァイス・ブラウケーゼ、シュメルツケーゼなど)ですね。教本p146

(9)一般的に、山羊乳、牛乳、羊乳の中で固形成分が最も多いのは山羊乳である。※牛乳はホルスタインの乳
答え: × 羊乳

解説:羊乳は歩留まりも良く、チーズ造りに適した乳ですね。教本p27

(10)アメリカのスペシャリティチーズの中で、アルチザンチーズといえば、原料乳はすべて自家生産の乳を使わなくてはならない。
答え: × ファームステッド

解説:スペシャリティチーズ4つはしっかりと押さえましょう。教本p168

(11)2017年1月から12月の貿易統計によると、日本における最大のチーズ輸入相手国は①アメリカである。次いで②オーストラリアと続く。この2ヵ国で日本の全輸入量の半分以上を占める。
答え: ① × オーストラリア   × ニュージーランド

解説:点が稼げる問題、確実に取りましょう。教本p54

(12)国際食品規格、略称 HACCP によって、チーズとは乳や脱脂乳を凝固剤で凝固し、ホエイを分離したものと定義されている。
答え: × CODEX

解説:国際食品規格がCODEX、HACCP(ハサップ)は危害分析重要管理点です。教本p24

(13)白カビチーズは熟成が進んでいくと、刺激のある酢酸のにおいが出てくることがある。
答え: × アンモニア

解説:白カビの酵素によりたんぱく質がアミノ酸に、更にアンモニアが生成されます。教本p43

【 問題2 】
以下のチーズ名を各設問の指示に従って正しい順番に並び替え、記号で記せ。

(1)100g中の食塩含量の多い順に
ア.  Mascarpone
イ.  Emmentaler
ウ.  Cheddar
エ.  Danablu
答え: エ → ウ → イ → ア

解説:製造法と塩分含量の関係を理解していれば正解にたどり着けますね。教本p206

(2)1個あたりの重量が重い順に
ア.  Robiola di Roccaverano
イ.  Taleggio
ウ.  Fontina
エ.  Parmigiano Reggiano
答え: エ → ウ → イ → ア

解説:難問ですが、チーズ自体の大きさをなんとなくイメージできれば。

(3)直径の大きい順に
ア.  Brie de Meaux
イ.  Fourme de Montbrison
ウ.  Selles-sur-Cher
エ.  Comté
答え: エ → ア → イ → ウ

解説:こちらの方が易しい問題ですね。上記したように大きさをイメージできれば。

(4)形状の高さの高い順に
ア.  Roquefort
イ.  Bresse Bleu
ウ.  Blue Stilton Cheese
答え: ウ → ア → イ

解説:一見かなり難問のようですが、Bresses Bleuが小さいことはわかるので、RoquefortとBlue Stilton Cheeseのどちらが背が高いのか・・・正解まで50%には近づけます。

(5)チーズ誕生の古い順に
ア.  Brie de Meaux
イ.  Camembert de Normandie
ウ.  Brillat-Savarin
エ.  Pavé d’Affinois
答え: ア → イ → ウ → エ

解説:アが一番古く、その次はイまではわかりますね。あとはウとエの順番だけ。問題をよく見て考えれば正解に近づける問題です。

【 問題3 】
次の各文のカッコに当てはまる語句を記せ。(1)に関しては選択肢より選び、記せ。

(1)2016年の実績では、フランスのA.O.P.チーズの年間生産量は、フランス全チーズ生産量の約( ① 10  /  30  /  50  /  80  )%にあたる。
答え: ① 10

解説:かなり探しましたが教本に記載がないと思います。満点を取らせないための問題ですね。教本p65にA.O.P.チーズの年間販売量のみ記載があり、教本p53にフランスのチーズ生産量の記載がありますが、ここまでなかなか抑えられませんね。常識的に10%か30%までは絞り込みたいですね。

(2)チーズをオーダーカットなど加工

するためには、所轄の保健所で( ② )業の許可が必要になる。
答え: ② 乳製品製造

解説:出題されることが多いです。教本p181

(3)サン・タンドレのような MG/ES が75%以上のチーズを総称して( ③ )クリームのチーズと呼ぶ。
答え: ③ トリプル

解説:ダブルクリーム、トリプルクリームともにサービス問題ですね。教本p90

(4)フランスのミモレットは、伝統的な着色料である( ④ )でオレンジ色に着色されている。
答え: ④ アナトー

解説:これもサービス問題、確実に点を稼ぎましょう。教本p91

(5)2015年に法律により規定された「栄養成分表示」の必須項目は、エネルギー(熱量)・たんぱく質・脂質・炭水化物・( ⑤ )である。2019年現在は経過措置中で、( ⑥ )年3月31日までに製造(加工、輸入)されるものについては、旧基準による表示が認められている。
答え: ⑤ 食塩相当量  ⑥ 2020

解説:現在経過措置中、出題したくなる問題です。確実に押さえておきましょう。教本p191

(6)第二次世界大戦後に生み出された高脂肪の白カビチーズには、「神々の気まぐれ」という意味の( ⑦ )や馬蹄形をした( ⑧ )などがあり、日本では人気がある。
答え: ⑦ カプリス・デ・デュー   バラカ

解説:サービス問題。教本p90

(7)チーズを輸入する場合、2通りの輸送方法があり、プロセスチーズの原料用などハードタイプのチーズは主に( ⑨ )便、直接消費用やソフトタイプのチーズは主に( ⑩ )便を利用する。共に、輸送するには冷蔵設備付きの( ⑪ )コンテナが必要である。
答え: ⑨ 船   空輸   リーファー

解説:輸送に時間をかけても大丈夫なタイプは輸送コストが安価な船便、品質的に早く輸送したいタイプはコストがかかっても空輸便を使います。リーファーコンテナは要暗記です。教本p181

(8)乳等省令の中で、乳製品の成分規格並びに製造及び保存の方法の基準として、ナチュラルチーズについて以下の記載がある。

ナチュラルチーズ(ソフト及び( ⑫ )のものに限る。)
( ⑬ )・モノサイトゲネス(1g当たり) 100以下
ただし、容器包装に入れた後、( ⑭ )殺菌したもの又は
飲食に供する際に ⑭ するものは、この限りでない。

答え: ⑫ セミハード   リステリア   加熱

解説:この件は丸暗記が必要です!教本p186p187

(9)チーズ製造時に添加されるレンネットは(  ⑮  )とみなされるため、一括表示には表示されない。
答え: ⑮ 加工助剤

解説:一括表示についてはしっかりと復習しましょう。教本p188

(10)包装後加熱殺菌済ナチュラルチーズのことを一般的には( ⑯ )チーズと呼ぶ。
答え: ⑯ ロングライフ

解説:教本をサッとでも読んでおけば記憶に残っていそうですね。教本p50

(11)Parmigiano Reggiano の製造ではスターターとして( ⑰ )を使用する。
答え: ⑰ 前日のホエイ

解説:イタリアの超有名チーズです。Grana Padanoとの製法などの相違点は確実に押さえておきましょう。教本p105

(12)熱いジャガイモのピュレに熟成前のライオルを混ぜて溶かし、つきたての餅のように伸ばす( ⑱ )というオーヴェルニュ地方の郷土料理がある。
答え: ⑱ アリゴ

解説:一次試験にはあまり出題されない料理の問題ですが、教本を一通り読み込んでおけばなんとかなります。教本p214

(13)オーストラリアのストレッチ・カードタイプはイタリアの( ⑲ )タイプにあたる。
答え: ⑲ パスタフィラータ

解説:オーストラリアで押さえるべきは、2017年度の日本の輸入実績が1位であること、そしてそれら輸入されたチーズは加工原料や業務用、シュレッドタイプであること。そしてこの分類法です。教本p170

(14)地中海東部の島国キプロス産のシコシコした食感の伝統的なチーズHalloumi は、一般的に乾燥して砕いた( ⑳ )の葉が入っている。
答え: ⑳ ミント

解説:重箱の隅をつつくかのような問題ですねw教本p164

(15)ベルギーでただ1つA.O.P.に認証されているチーズは( 21 )である。
答え: 21 フロマージュ・ド・エルヴ

解説:教本の2ページを割いているベルギー、唯一のA.O.P.チーズは覚えなければなりません。教本p152p153

(16)スペイン中央部のラ・マンチャ地方で造られる( 22:原語で )は、同国で最も知名度の高いD.O.P.チーズである。
答え: 22 Queso Manchego

解説:スペインといえばこのチーズです。落としているようでは難しいです。教本p125

(17)フランスのI.G.P.認証チーズで18世紀の食通の名を冠したチーズは( 23 )である。
答え: 23 ブリア・サヴァラン

解説:確実に点が稼げる問題です。教本p89p23

(18)チーズ公正競争規約で、チーズフードとは製品中の( 24 )分の重量が( 25 )%以上のものと規定されている。
答え: 24 チーズ  25 51

解説:常識的に考えれば正解にたどり着ける問題です。教本p187

(19)フランスのA.O.P.認証のブルーチーズ6種類のうち、羊乳から造られるのは( 26:原語で )のみである。
答え: 26 Roquefort

解説:各国の超有名チーズは復習しておきましょう。教本p86

(20)非加熱圧搾・加熱圧搾タイプのチーズに刺してサンプルを取ったり、叩いてその音から孔や割れがないかを検査する道具のことを( 27 )と呼ぶ。
答え: 27 トライヤー

解説:形状は覚えているけれど・・名称が出てこない。そんな問題ですね(笑)教本は一通り読むべきです。教本p40

【 問題4 】
プロセスチーズに関して、以下の問いに答えよ。

(1)初めて開発された国はどこか。大量生産が始まった国はどこか。
答え: 初めて開発された国… スイス  大量生産が始まった国… アメリカ

解説:よく問われるように思います。開発した国と大量に生産した国が違うんです。教本p49

(2)日本での普及は、いつ頃からどのような形で始まったか。
答え: 第二次大戦後1950年代、学校給食に取り入れ始めてから

解説:日本人がチーズに接したのはこの時が初めてといっても良いでしょう。しかもナチュラルチーズではなくプロセスチーズからなんですね。教本p58

(3)一般的に、プロセスチーズがナチュラルチーズよりも安価なのはなぜか、その理由を2つ記せ。

答え:↓

国産プロセスチーズ製造に使われる輸入ナチュラルチーズは、一定の数量の枠内に限って関税がかからないため(関税割当制度)
プロセスチーズ原料のナチュラルチーズは、直接消費用のナチュラルチーズに比べて熟成が若いものが多いため

解説:チーズプロフェッショナルの試験が難しいと言われるのはこういう書かせる問題があるからですね。知識だけでなく、それをキチンと文章にできる力、すなわちお客さまに伝えることができる力も問われているんですね。教本p59p60

(4)乳等省令では、プロセスチーズの成分規格の中で乳固形分量が規定されている。ここでの乳固形分とは何か。また乳固形分量は何%以上と定められているか。
答え: 乳固形分とは 乳脂肪量と乳蛋白量との和
40.0 
%以上

解説:細かく問われましたね。乳固形分については答えられますが、分量の割合はなかなか覚えられないですね。片方正解でOKでしょう。教本p187

(5)国内のチーズの消費量統計によると、業務用の中ではナチュラルチーズが圧倒的に多いが、家庭用の中ではプロセスチーズがほぼ半分を占めるほど人気があるのはなぜか、理由を2つ挙げよ。
答え: 相対的に安価である / 保存が楽である / 風味嗜好の点で違和感が少ない

解説:(3)の問題同様、伝える力ですね。

(6)以下の写真はプロセスチーズの製造工程の一部である。写真中のAとBをこの後加熱しながら混ぜ合わせ溶かしていく。このAとBはそれぞれ何か、記せ。

答え A 乳化剤(溶融塩)
B 細かく粉砕された原料チーズ

解説:教本p49の写真がそのまま使われていますね。

 

 

1回目はここまでにしておきます。

 

2019.9.22   Sou Otani